「重い物」と「軽い物」を同じ高さから同時に落とすと、どちらが速く落ちるでしょうか?
感覚的に、重い方が速く落ちると思うかもしれませんが、
実は重い物と軽い物は同時に床に落ちるのです。
「本当に??」
という疑問を解消すべく、
本当に「重い物」と「軽い物」が同時に落ちるのか実験してみます。
重いボールと軽いボールの落下実験
実験のやり方は非常に単純です。
重さの違う2種類のボールを用意し、
それぞれ落としてみて、地面に到達するまでの時間を計測します。
用意するもの
今回は、軟式M号球とダイソーのおもちゃボールを用意しました。
できるだけ実験条件を揃えるために、
ボールのサイズは近い方が良いよ!
それぞれの重さを測ってみると、
M号球がおもちゃボールの6倍重いことがわかりました。
つまり、M号球が重いボール、おもちゃボールが軽いボールです。
M号球:135g →重いボール
おもちゃボール:22g →軽いボール
新品のM号球は138gだけど、使ったから軽くなったみたいだ
重いボールと軽いボールの落下時間を計測
高さ1.5mからそれぞれのボールを落下させます。
近隣住民に迷惑が掛からないよう、
床にクッションを置かせました
メジャーで地面(クッション)から1.5m測り、印をつけておきます。
これで準備完了。
ボールを落として、地面(クッション)に到達するまでの時間を計測します。
計測には、iPhoneのストップウォッチ機能を使っています。
それぞれのボールで10回ずつ計測します。
実験結果は2種類とも落下時間が同じ
実験結果が出ました。
M号球もおもちゃボールも平均落下時間は0.55秒です。
この実験結果から、重い物と軽い物が同じ速度で落下することが確認できました。
実は理論値を計算すると、0.55秒になるよ!
すごい!
実験大成功だね!!
重さに関わらず落下速度が同じ理由(感覚的)
重さに関わらず落下速度が同じ理由について、まずは感覚的な話から始めましょう。
例えば自転車で斜面を下る場合、
体重が重い人の方が、最高速度が速そうです。
でも、勢いに乗るまでは少し時間が掛かりますね。
一方、体重が軽い人はすぐにスピードが出ますが、体重が重い人ほど最高速度が速くなりません。
自転車の例と同じように、
ボールを落下させる時は、力がちょうど相殺されて、
ボールが重くても軽くても同じ速度で落ちていくというイメージです。
ほう。
何となくイメージが湧いてきたよ
重さに関わらず落下速度が同じ理由(理論的)
重さに関わらず落下速度が同じ理由を、理論的に式を用いて検討してみます。
そこで、質量mの球を自由落下させる状況を考えます。
空気抵抗は無視するよ!
高校物理の超基本式である、運動方程式 F=mαを使って、
落下するボールの加速度αを求めてみます。
力Fと加速度αはベクトルなので、向きがあるよ
ボールに下向きに働く力 F は mg なので、
運動方程式を立てると、 mα=mg
両辺を m で割って
加速度α=g
このように、加速度αを表す式に質量mは含まれません。
つまり、加速度αは質量に関係なく ”g(重力加速度)” となることが証明されました。
だからボールの重さは落ちるスピードに関係ないんだね!
そういうこと!
もっと詳しく知りたい人は、
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